はじめに
認知症の家族を介護していると、
「どうしてこんな行動をするの?」「もう疲れた…」
そんな気持ちになる瞬間、ありませんか?
「本人」の視点で書かれている本を探しているときに出会ったのが
**『認知症世界の歩き方』**という一冊です。
この本は、認知症の方の世界を
まるで“旅するように”紹介してくれるユニークなガイド本。
介護の見え方が変わるような、心に残る一冊でした。
本の基本情報
📘 書名:認知症世界の歩き方
✍️ 著者:筧裕介(studio-L代表)
→ 医療従事者ではなく、ソーシャルデザイナーならではの視点が魅力
📖 出版社:ライツ社(2021年)
本の内容と特徴
この本の最大の魅力は、
「本人の視点」から認知症を体験できるということ。
まるで異国を旅するように、認知症の方の世界を紹介してくれます。
たとえば……
- 乗るとだんだん記憶をなくす「ミステリーバス」
- イケメンも美女も、見た目が関係ない社会「顔無し族の村」
- 距離も方角もわからなくなる「二次元銀座商店街」
ユニークな名前とイラストで、
認知症の行動や感覚を「擬似体験」できる構成になっています。
ただの解説書ではなく、
読者が“その世界に入り込んで感じる”ことができるのが大きな特徴です。
読んだ感想
この本を読んでから、母の行動が少しずつ理解できるようになりました。
たとえば――
- 冷蔵庫に同じ食品がいくつも並んでいた時
「また買ってきて…」ではなく、
「不安でストックしたくなる世界にいたのかも」と思えるように。 - 見知らぬ人に親しげに声をかけた時
「なぜ?」ではなく、「顔の認識が難しくなっていたんだな」と気づくようになりました。
介護の中に、ほんの少しですが余裕とやさしさが生まれた気がします。
こんな方におすすめ
この本は、次のような方におすすめです:
- 認知症の家族に対してついイライラしてしまう
- なぜそのような行動をするのか、理解できずに戸惑っている
- 自分の介護に自信が持てない、自分を責めてしまう
専門用語も少なく、イラストや図解が豊富なので、
介護初心者にもとても読みやすい構成になっています。
ただし、「どう対応したらいいか」という具体的な対策や実践的なヒントは少なめに感じられるかもしれません。
そのため、本人の行動の背景や気持ちを知りたい方にはぴったりですが、すぐに使える介護テクニックを探している方には、やや物足りなさを感じる可能性があります。
✨「本人にはこんな世界が見えていたんだ」と気づかされる1冊です。
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まとめ
「介護に正解はない」──よく聞く言葉ですよね。
認知症も、人それぞれ。
症状や感じ方は十人十色です。
だからこそ、
「その人にとって世界がどう見えているのか」
少しでも想像しようとする姿勢が、とても大事なんじゃないかなと思います。
『認知症世界の歩き方』は、
認知症のあるご本人が「どんな世界にいるのか」「どんなふうに感じているのか」
そんな視点を、やさしい言葉とイラストで教えてくれる本です。
「わかろうとすること」ー
そこから始めてみたい方に、きっとぴったりの一冊ですよ。
📌 次回は、シリーズ2冊目『認知症は決断が10割』をご紹介予定です。
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