はじめに
認知症ケアに関わっていると、
「どうすれば予防できるの?」と聞かれることがよくあります。
私自身も同じ疑問を持っていたときに出会ったのが、
米国老年医学専門医・山田悠史さんの著書
『認知症になる人 ならない人』でした。
医学的な根拠と経験をもとに、認知症のリスクを“見える化”してくれる一冊。
「何をすればいいの?」「何をしなくていいの?」が、やさしく整理されています。
書籍情報書籍名:『認知症になる人、ならない人』著者:山田悠史出版社:講談社
この本で得られること

誰もが一度は考えたことのある、こんな疑問に答えてくれます。
- 「これを食べれば予防できるの?」
- 「アミロイドβを調べた方がいいの?」
- 「どんなことを続ければいいの?」
科学的根拠にもとづいて、認知症のリスクを下げるための考え方や方法がわかります。
この本から学べる3つのポイント
- 認知症のリスクを減らす生活習慣
- 今からでも遅くない予防の考え方
- 「やらなくていいこと」も見つかる
1章:認知症になる人の生活習慣
脳の健康に「換気」がこれほど重要だとは思いませんでした。
家電で快適に暮らせる今だからこそ、“空気の入れ替え”という基本を見直したいと思います。
2章:実は認知症予防に効果がないこと
「これを食べれば」「あれを飲めば」といった情報、ありますよね。
私も気になってナッツ類やヨーグルトをせっせと食べていた時期がありました。
サプリメントは試したことがありませんが、それらに多くのお金をかけている方も。
また、デイサービスの“脳トレ”も耳が痛い話でした。
楽しさよりも「やらされている感」を提供しているかも?
ナンプレ(ナンバープレース)は好き🥰
中でも、根拠のない“認知症ビジネス”には要注意ですね。
調べてみると、自由診療での検査費用は
血液検査で2〜3万円、PET検査では30〜60万円ほど!
興味がある方は、この本を読んで一度立ち止まることをおすすめします。
3章:認知症にならない人の暮らし方

この章で一番印象に残ったのは、「人との交流の大切さ」。
現役世代が仕事を離れたあと、人とのつながりをどう築くかが鍵になるのですね。
とはいえ、いきなり絆は深められません。
でも、大丈夫✨
近所の人、趣味の仲間、地域の集まりなど、
身近なところから少しずつ関係を育てていけばいいと感じました。
🏃♀️運動について

「運動は万能!」と印象がありましたが、
現時点では“確実に認知症を防ぐ”とは言い切れないみたい。
それでも、心身の健康には良い影響がたくさんあります。
大切なのは、“好きで続けられる運動”を見つけること。
もし続かなければ、また違うことにチャレンジしてみましょう。
ちなみに著者は、「頭は守って」とも書かれています。
私も自転車に乗るときは必ずヘルメットを着用しています。かっこ悪いなんて言わないで
自分の身を守るのは、やっぱり自分自身。
👂👀感覚器のケア

目や耳のメンテナンスも、認知機能を守るうえでとても大切。
「年のせいだから」と放っておくと、知らず知らずのうちに“孤立”を招くことも。
私は最近3年ぶりに眼科に行き、白内障や緑内障のチェックをしてもらいました。
老眼は進んでいましたが、白内障はまだ大丈夫。
やはり定期的な受診が大切だと実感です。
私の持論ですが、
「首から上の不調は2週間待ってはダメ。1週間〜10日以内に受診を」
治療のタイミングで結果が大きく変わると感じています。
🍽食事について
「最強の認知症予防食」は、今のところ存在しないようです。
大切なのは、食事そのものを“楽しむ”ことかもしれません。
4章:認知症になっても本当に必要なのはこれだけ
誤った情報に惑わされないために、知っておきたい検査・薬・介護サービスの基礎知識が紹介されています。
知識は、やっぱり最強の武器ですね。
「本当に必要な介護準備」の章では、
在宅介護を選ぶときに押さえておきたい視点として、
**IADL(日常生活関連動作)とBADL(基本的日常生活動作)**について、
イラストでとてもわかりやすく説明されていました。
IADLとは「買い物・掃除・料理など、生活を自立して送るための動作」、
BADLとは「食事・排泄・着替えなど、基本的な身の回りの動作」のこと。
この段階を把握しておくことで、
どんなサポートが必要なのかが”見える化”され、支援の方向性が明確になります。
これまでいくつか認知症関連の本を読んできましたが、
ここまで丁寧にIADLとBADLを解説している本は初めてでした。
「本当に必要なお金」の章では、
家族による介護費用について
負担を軽減するための制度についても紹介されていました。
まだまだ知られていない制度も多く、改めて知ることができて良かったです。
介護と仕事の両立は、本当に悩ましいテーマですよね。
今では「ビジネスケアラー」と呼ばれる、介護と仕事を両立している人が
日本ではおよそ18人に1人いるといわれています。
少しずつですが、職場の制度や社会の仕組みも整いつつあります。
それでもなお、個人の努力に頼らざるを得ない現状を感じました。
- 介護休業制度:介護のために休む期間、給与の一部を国が補償
- 介護休暇制度:突発的な介護が必要なとき、申請して休める制度
最近ではテレワークや時短勤務など、企業独自の支援も増えてきています。
介護を安心して続けられる社会になるよう、こうした仕組みが広まるといいですね。
読後の気づき✨
- 無意識のうちに続けていた生活習慣に、リスクが潜んでいることに気づきました。
- 間違った知識に振り回されず、「これでいい」と思える安心感を持てました。
- “認知症にならないこと”が目的ではなく、“自分らしく生きる”ことが目的なんだと気づきました。
まとめ

テレビやSNS、書籍など、どんな情報も一方向だけを信じすぎるのは危険です。
不安をあおる“認知症ビジネス”にも気をつけたいですね。
そして何より、人とのつながりの大切さ。
「人の脳も、人によって支えられ、人の間で磨かれる」
この一文に、深く共感しました。
おすすめしたい人
- 認知症の予防に関心がある方
- 食事やサプリなどを試してきたけれど、正しい知識を得たい方
- 科学的な根拠を知り、日々の生活に生かしたい方
おわりに🌸
この本を読んで、“不安の先にある安心”を少し取り戻せた気がします。
焦らず、自分のペースでできることから始めていきましょう。

