「薬を飲みたいのですが、力が入らなくて。この蓋を開けてもらえますか」
最初にそうお願いした相手は、映画館でチケットを確認していたスタッフの方でした。
映画が終わって、薬を飲みたい。ペットボトルは手の中にある。
なのに、蓋を「ひねる」という動作が、とにかく痛くてできなかったんです。
リウマチと診断され、間もないころの話です。
この記事では、リウマチの私が毎日の家事や暮らしをどう乗り切っているか、
実際にやっている工夫を書いていきます。
その前に、いちばん伝えたいことを先に言わせてください。
家事のやり方を変えるのは、手抜きでもサボりでもありません。
関節を守ることは、治療の一部です。
(私がリウマチと診断されるまでのお話は、こちらの体験談に書いています)
「できない」と言いたくなかった、買い物カゴの前で
診断されたばかりのころ、いちばんこたえたのは買い物でした。
カゴからマイバッグに商品を移すのが、痛くてたまらない。
今までは片手でスイスイできていたのに、両手で、1つずつ。
「こりゃ大変だなぁ」——レジの横で、思わずつぶやきそうになりました。
思い返すと、そんな「些細なできない」が、あちこちにありました。
5本指ソックスを履くのに苦労する。
マンションのゴミ収集所の鍵が硬くて、片手で開けられず、いつも両手。
できていたことが、できなくなっていく。
それも、本当に些細なことから。
そして、それを「できない」って、言いたくない。

「できない」って認めたくなくて、つい無理しちゃう。

私もそうでした。
だから「できない」じゃなくて、「やり方を変える」って決めたんです。
台所の工夫——敵は「蓋」でした
台所で最初に立ちはだかったのは、蓋でした。
瓶の蓋。ペットボトル。そして意外なところで、洗濯洗剤や柔軟剤のキャップ。
夫が使ったあとのキャップは固く閉まっていて、開けられないんです。
それで私は、こうお願いしました。
私も使うから、少し緩めておいて。
たった一言ですが、これで洗濯のたびの「ううっ」がひとつ減りました。
レトルトパウチの封を切るのも、地味に痛いんですよね💦
そんな中で感動したのが、茅乃舎さんの出汁パックでした。
切り込みがスムーズで、力がいらない❣️
開けやすいパッケージって、やさしさなんだと思います。
逆に、力を入れないと開かない商品に出会うと、「考えられてないんだなぁ」と少し落ち込んだりもします。
道具を替える——キッチンバサミと、さよなら鉄瓶
包丁は、私はいまも使えています。ただ、リウマチ歴15年以上になる知人は「最初のころは包丁が全然使えなくて、家事が本当に大変だった」と言っていました。同じ病気でも、人によって出方はずいぶん違うんですね。
私が包丁をあまり使いたくない日に頼っているのは、キッチンバサミです。
いまは軽くて良い物がたくさん出ていて、私が使っているのは貝印のもの。
分解して丸洗いできるので、衛生面の心配もなくて、ものすご〜く重宝しています。

それから、ひとつだけ残念だったお別れの話も。
お気に入りの鉄瓶で、お湯を沸かして毎朝緑茶を飲むのが習慣でした。
でも鉄瓶は、重い。
手への負担が大きくて、手放すことにしました。いまは軽いアルミのやかんです。
道具は替わったけれど、毎朝の緑茶の習慣は続いています。
手放したのは道具だけで、習慣は守れた——そう思うようにしています。
鍋やフライパンも、なるべく両手で持つようにしています。
片手で持つと、手首や指の関節に負担が集中してしまうから。
看護師の目で見ても、これは理にかなった関節の守り方です。
買い物の工夫——持たない物と、あえて持つ物

お米や、かさばるトイレットペーパー。重い物・大きい物は、生協さんで注文するのが基本になりました。ビールなどのお酒類は、夫がいるときに一緒に買います。
「少しずつ小分けに買えばいいのでは?」と思われるかもしれません。でも頻繁にスーパーに行くと、余分な物まで買ってしまうんですよね笑(これは関節と関係ない話ですが…)。
実は、買い物カートを検索したこともあります。
そうしたら、レビューが「80代の高齢の母に買いました」ばかり😢
私、まだ50代なんだけどな。おしゃれなのが、ないんだよなぁ……と、そっと画面を閉じました。
ただ、いまカートを使っていないのには、もうひとつ理由があります。
リウマチになると、骨粗しょう症の検査も受けるようになります。
私の場合、そこでしっかり骨粗しょう症と言われてしまいました😭
先生からは「少しは重い物を持ったほうがいい」と。
だからいまは、骨に負荷をかけるためにも、持てる範囲の買い物はあえて自分の力で持つようにしています。両肩に荷物を抱えて帰る日も、今もあります。
持たない物は生協に。持てる物は、骨のためにあえて自分で。——
「全部持たない」でも「全部がんばる」でもない、この使い分けに落ち着きました。
冬の工夫——手を冷やさない

梅雨時や冬、寒くなると、関節はてきめんに痛みます。
だから冬は、素手で外に出ません。
重宝したのは、指先の空いた手袋。
指先が出ているので、お財布もスマホもそのまま扱えて、それでいて関節まわりは冷やさない。
冬の外出の相棒でした。
リュックに、いつも入れているもの

映画館の一件からずっと、私のリュックには蓋開けグッズが必ず入っています。
写真の物は、もともと家にあった物です。いまはネットで探すと、いろいろな種類が出ています。
ここでひとつ、私の小さな工夫を。バッグの底やポケットに入れてしまうと、沈んでしまって、取り出すのに時間がかかるんです。だから紐をつけて、目印にしています。紐を引っ張れば、すっと出てくる。
リウマチ仲間のバッグにも、こういう蓋開けグッズはよく入っています。
みんな、同じところでつまずいているんですよね。
今は種類も様々あるみたい。
頼っていい、という話
家族に頼る。
道具に頼る。
ときには、見知らぬ誰かに頼る。
映画館のあの日から、外出先で蓋を開けてもらったことは、何度かあります。
最初はすごく勇気がいりました。でも、頼ることは負けではありません。
そして、いちばん近くで頼っているのは、夫です。
「少し緩めておいて」の一言から、夫は少しずつ変わっていきました。洗剤のキャップをぎゅっと締めなくなっただけではありません。ピンチの固いタオルハンガーを、タオルはしっかり挟めるのに指の力がいらないタイプに買い換えてくれたり。手に負担のかかる24時間換気口の掃除は、いつの間にか夫の役目になっていたり。
家族が病気をわかって配慮してくれるのは、気持ちが楽になるというか、心が温かくなるというか——本当に、大きいです。
ただ、これだけは言えます。言わないと、わからないんです。
普通に暮らしていて、関節は痛みません。
リウマチになった人だけが「この動作で、この関節に負担がかかるんだ」と体で感じています。
家族には、見えません。
だから、負担が大きいところは言葉にして、協力してもらう。
それはすごく大事なことだと思っています。
優しさって言うのかな、労りって言うのかな——
それはもしかしたら、薬以上の治療薬になるのかもしれません。
関節を守ることは、治療の一部——これは看護師としても、当事者としても、自信を持って言えます。

でも、家事の手を抜くのって、罪悪感があって…

手抜きじゃなくて「関節保護」です。堂々と省いていいんですよ。
まとめ

- 「できない」ではなく、「やり方を変える」
- 蓋は緩めておいてもらう。切るのはハサミでいい。重い道具は、軽い道具に
- 持たない物は生協に、持てる物は骨のためにあえて自分で(※私の場合です)
- 人に頼る・道具に頼る・一言お願いする——それも全部、関節を守る治療の一部
できていたことが、できなくなっていく。でも、やり方は変えられる。
今日もどこかで「ううっ」となっているあなたへ。
全部をちゃんとやらなくて、いいんですよ。
蓋開けグッズや手袋など「買ってよかった物」のお話は、また別の記事で詳しく書きますね。
今夜の家事がひとつ、そっと軽くなりますように🌿

