
「さっき食べたでしょ?」――ついそう返したくなる瞬間、ありますよね。
忙しい朝に何度も「ご飯は?」と聞かれると、優しくしたいのについイライラ。
そして…あとで自己嫌悪💦
これ、すごく自然な反応です。
その言葉の裏には、記憶の問題だけでなく
「なんだか不安」
「気持ちを受け止めて」
「話を聞いてほしい」
そんなサインが潜んでいることが本当に多いんです。
さらに、デイサービスやショートステイの予定日など、
「伝えたほうがいいのかな…」「言うと不安にさせるかも…」
そんな“揺れる気持ち”を抱えながら関わっている方も多いはず。
その迷い、すごくよく分かります。
この記事では、看護師として長年認知症の方と関わってきた経験から、
「心」と「身体」の両面に寄り添う声かけや環境調整のコツをまとめました。
読み終わる頃には、
今よりちょっと肩の力が抜ける“ちょうどいい距離感”がきっと見つかります。
一緒にホッとできる時間をつくりましょう。
繰り返しの訴えは「身体のサイン」の可能性も
繰り返しの訴えというと、「ご飯は?」の他にも
「トイレに行きたい」、「今日は何曜日?」などがありますよね。
じつは 「せん妄」や「脱水」「薬の影響」 など身体の不調から来ていることも。

せん妄って?

環境の変化(ショートステイ後など)や感染症で出やすく、
ぼんやり・興奮・夜間の混乱などが突然見られる症状のことよ。
繰り返しの訴えが続く時は、
主治医や訪問看護師に相談することも選択肢に入れておきましょう。
認知症による食事忘れへの対応法5選
身体の不調が原因として考えにくい場合は、
次に “心のアプローチ” と “記憶・環境のアプローチ” を意識してみましょう。
ここからは、認知症の方が落ち着きやすくなる関わり方を5つ紹介します。
まずは気持ちを受け止める穏やかな声かけ(心のアプローチ)
現場では「さっき食べましたよ」と伝えるだけで
「あっそう〜」と納得されることも少なくありません。
これももちろん“あり”の反応です。
ただ、認知症ケアで大切なのは
その方がどんな気持ちで言っているのかを“受け止める”こと。
まずは穏やかに
「さっき食べたよ」 と事実を伝える。
その表情が不安そうであれば、
「食べてないように感じるのですね」 と気持ちを受け止めてあげると、
グッと安心されることが多いです。

とくに
「明日はデイ」「夜はショートの準備」
などの予定が耳に入った日は、
不安から同じ質問を繰り返しやすい。
そんな時は、
「ちょっとソワソワしてる?」
「不安になっちゃったかな」と気持ちを言語化して寄り添うだけで
落ち着かれる方もたくさんいます。
「食べたい」は“安心したい”のサイン。一口おやつで心を満たす

お腹よりも“心の不安”が原因のことが多いみたい。
短時間で何度も聞かれる場合は
一口サイズのおやつやおにぎりが安心材料になります。
例:塩分控えめで小分け包装のおせんべいやちょっと甘く食べやすいゼリーも人気です。
少量の食事を用意して「安心」を届ける(心と環境)
「じゃあ少し食べようか」と少量だけ用意することで
“満たされた感覚”が残り、落ち着く方も。
食べきってしまいやすいので、少量にするのがポイント。
介護者の負担が大きくならない範囲でOK。
食器を残して“視覚”で記憶をサポート(記憶/環境のアプローチ)

アルツハイマー型では短期記憶がうすれ、
言葉より 「見た情報」 が記憶のヒントになります。
食べ終わったお皿をすぐ片づけず残しておくのもひとつ。
自分のお皿や茶碗、箸を見ることで「ああ、食べたんだ」と納得されることがあります。
夜間の冷蔵庫ロックで安全を守る(環境アプローチ)
夜中に冷蔵庫を開けて大量に食べてしまう方もいます🌀
翌日お腹を壊す原因や誤嚥の心配な方は、家族が留守にする時や夜間はチャイルドロックなどで
鍵をかけておくと安心。
その代わり、リビングにはお茶や軽く食べられるものを置いておきましょう。
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「食べていない!」という言葉の奥には、
“不安” “寂しさ” “確かめたい気持ち” が潜んでいることが多いです。
介護する側は本当に大変。
同じ質問が続くと、心がすり減りますよね。
でも、
その言葉の裏にある“本当の気持ち”を少しだけ想像できると、
ケンカにならない距離感がつかめてきます。
がんばりすぎず、
今日できる範囲で関わっていきましょうね🌿
あなたの介護が、少しでも軽くなりますように。

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