
「さっきも言ったのに…」とついイライラしてしまう、繰り返しの会話。
1日に何十回も同じことを聞かれると、やっぱり疲れてしまいますよね。
「私の対応が悪いのかな」「もっとうまくやれれば…」と自分を責めてしまう方もいます。
でもそこには、本人なりの理由や安心したい気持ちが隠れています。
この記事では、デイサービスと訪問看護、両方の現場で実際に効果があった
「3つのアプローチ」をお伝えします。
なぜ何度も同じことを言うの?【認知症による不安と記憶障害】

「それさっきも聞いたよ」「何回同じこと言うの?」
時にはつらくなってしまうこともありますよね。
繰り返しの理由は、大きく2つあります。
①記憶の障害
認知症になると、新しい情報が脳に定着しにくくなります。
さっき聞いたことが数分後には消えてしまうため、また同じ質問をしてしまうのです。
「わざと困らせている」わけでは決してありません。
②不安からくる確認行動
「今日は何曜日?」「ご飯はまだ?」という繰り返しは、不安を解消しようとしているサインです。
「覚えていたい」「迷惑をかけたくない」という気持ちの表れでもあります。
この2つが重なることで、繰り返しの言葉が生まれます。
結論:同じ返事でOK!「安心のループ」を作ることが大切

本人はわざと繰り返しているわけではありません。
多くの場合は、
「安心したい」
「確認したい」
「覚えていたい」という気持ちの表れです。
例えば「今日は午後2時から体操に行って、その後おやつだよ」
これを10回聞かれても、10回同じように返してOK。
「何度聞かれても変わらない返事」があると、
本人は安心しやすくなります。
私はこれを“安心のループ”と感じています。
介護現場で効果があった「3つのアプローチ」
同じ話への対応は、大きく3つに整理できます。

アプローチ① 環境づくり 「見える化」で不安を減らす

カレンダーで「今日の予定」を見える化する
日付や予定を大きな文字で書いたカレンダーを、よく見える場所に貼っておきましょう。
「今日は何曜日?」と何度も聞いてくる方には特に効果的です。
実例:私が担当していたAさん(80代女性)は、
毎朝10回以上「今日はデイサービス?」と確認されていました。
そこで、
「火・木→デイサービス」と大きく書いたカレンダーをリビングに貼ったところ、
ご自分で確認するようになり、質問が減っていきました。
マスキングテープやシールなど、
本人が見やすく、親しみやすい工夫も効果的でした😊
「カレンダーに書いてほしくない」という方には、
本人が「ここならいい」と思える場所を一緒に探すのがポイントです。
メモを「自分で読んでもらう」
予定や日課を書いたメモを、ただ貼るだけでなく「ここに書いてあるよ、読んでみて」
と促すのがポイントです。自分で読むという行為が、深い納得と安心感につながります。
アプローチ② 伝え方・関わり方「いつもの答え」と笑顔のきっかけ

「いつもの答え」をあらかじめ決めておく
10回聞かれても、10回同じように返すための”台本”を用意しておきましょう。
例:「今日何曜日?」→「火曜日はデイサービスに行く日だね!楽しみだね」と前向きな情報を添えて返す。「私が覚えているから大丈夫」という一言が安心につながることもあります。
話題や行動を変えて気分転換する
昔の思い出に触れると、気持ちが安定することがあります。
懐かしい歌、子どもの頃の話、好きだった食べ物の話題などが効果的です。
特に夕方は不安が強まりやすい時間帯(夕暮れ症候群)です。
散歩や軽い体操など、体を動かす気分転換が有効です。
笑顔になる「キーワード」のストックを作る
故郷・昔のおやつ・大切にしていた物など、その方が笑顔になる話題を見つけておきましょう。
「若い頃、何のお仕事をされていたんですか?」「子どもの頃、何が好きでしたか?」
こうした会話のきっかけを持っておくと、繰り返しの場面でもすぐに気持ちを切り替えられます。
アプローチ③ 心の守り方 介護者自身を守る仕組みを作る

「人が変わる」というリセット効果
同じ人が何時間も対応し続けると、どうしても疲弊します。
もし可能なら、別の家族やスタッフが対応するだけで本人の気分がリセットされ、
落ち着くことがよくあります。
一人で抱え込まず、交代する仕組みを作ることも大切なケアです。
頭の中で「言い換え」をする
「また同じことを言っている」と思う代わりに、「この人は今、ひどく不安なんだな」と言い換えてみましょう。繰り返しの背景を知るだけで、対応の質が自然と変わります。
自分を褒める習慣を持つ
完璧に対応しようとしなくて大丈夫です。
「今日も10回付き合えた、えらい」と一日の終わりに自分自身をしっかり褒めてあげてください。
介護は長距離走。自分をいたわることが、長く続けるための一番の秘訣です。
よくある質問

Q. 繰り返しを無視してもいいですか?
A. 完全な無視は逆効果になることがあります。短くても「うん、そうだね」と受け流す程度の反応が理想的です。
Q. 薬で繰り返しを止めることはできますか?
A. 繰り返し自体を止める薬はありませんが、不安が強い場合は主治医に相談することで、症状が和らぐことがあります。
Q. 施設に入れても同じことが続きますか?
A. 続くことが多いですが、環境が変わることで落ち着くケースもあります。施設スタッフはこうした対応に慣れているので、任せる安心感もあります。
まとめ 同じ話の繰り返しには「安心」と「寄り添い」が効果的

高齢者が同じ話を繰り返すのは、
記憶障害だけでなく不安感の表れであることが多いです。
介護者側が意識したい3つのこと
- 「症状なんだ」と理解する
- “いつもの安心する返事”を用意する
- 介護者自身も頑張りすぎない
この3つを意識することで、本人も安心し、介護も少しずつ楽になります。
「同じ話でも、何度でも笑い合えたらいい」
時に笑い飛ばせる、そんな関係を目指せればいいですね。



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