
認知症が進んでくると、食事のときに動作が止まってしまい、
「あれ?お箸の使い方がわからないのかな?」と思う場面があります。
食事は「選ぶ→取る→口に運ぶ→噛む→飲み込む」という複数の動作の連続です。
そのひとつひとつを切り替えながら、
- こぼさないように
- きれいに
- 行儀良く
…と、実はとても高度な作業なんです。
お箸が使えなくなる背景には、手指の運動機能の低下や、
失行(※動作のやり方がわからなくなる症状)が関係しています。
工夫のポイント
1. スプーンやフォークを用意する
お箸が難しいときは、スプーンやフォークに切り替えるとスムーズに食べられることがあります。
「無理にお箸を使わせない」という選択も大切です。
2. 手づかみで食べられる形にする

おにぎりやサンドイッチ、野菜スティックなど、直接手で持てる形にするのも一つの工夫です。もちろん、手指は清潔にして。
ご家族も同じように手づかみで食べると、「恥ずかしい」「わたしだけ?」という気持ちがやわらぎ、安心して食事を楽しめます。
介護の現場では、手づかみでしか食べられない方もいます。
デイサービスでは朝食を食べずに来所したり、昼食でも個別対応が必要なかたもいらっしゃいます。
他の利用者さんたちは皆と違うことをされている方をどうしても気にするようです。
そういうときには、周囲の利用者さんとの関係が悪くならないように、席の配置を工夫する(背を向けて食べる)(さりげなく食事介助)などの対応をしています。
3. 持ち方を一緒に確認する

食事前に少しだけ箸や食器を手に持ってもらうことを補助するだけで、
自然に食事が始まることもあります。手続きをサポートするのですね。
見せるだけでスムーズに食べられることも。
言葉よりも、動作で伝えるほうがわかりやすいことが多いです。
4. 声かけの工夫
「おいしい○○ですね〜」
「だいすきなたらこですよぉ」
時々、「食べてイイよ!」「あんた食べなよ」なんていわれてしまうけれど😅💦
ポジティブな言葉のシャワーで笑顔で食べてもらいましょう!
あっ、笑わせすぎるとムセてしまうから注意してくださいね。
5. 食具の工夫
食器が滑らないように100均の滑り止めマットをカットして使用することはよくあります。
市販されている便利な食具を活用するのもおすすめです。
- 食事用エプロン(ロングタイプ)
・裾をテーブルにひけるので、衣服や床が汚れない
・テーブルにひかないときは膝まで長さがある
・ホック止めも紐結びも両方できる
・洗濯機で洗えて、乾きも速い
・可愛い花柄(他にも種類あります)
2.バルーンユニバーサルスプーン
・スプーンの部分が角度を変えられるので、口に運びやすい
・昔懐かし、先がフォークの形態
・一口量がちょうど良い
3.ハジー・安心ストロー
・ベッドに寝たままで、市販のペットボトルにさすだけで中身をこぼさずに飲むことができます
・evian、Volvic、サントリー天然水は使用不可とされていますのでご注意
どれも実際に役立ったグッズを紹介しています。
ご本人の状態や好みに合わせて試してみてください。
まとめ

「自分で食べること」は当たり前のようで、実はとても大切な満足感につながります。
もちろん進行とともに難しくなることもありますが、”自分で食べる”をサポートする工夫はたくさんあります。
家庭でも取り入れやすい工夫を少しずつ試してみてください。
食べてくれると嬉しい、笑顔を見せてくれるとまた頑張ろうと思える。
その積み重ねが、続ける力になります。
「食べる」は「生きる」こと。
速めの小さな工夫で“自分で食べる”を応援していきましょう。
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