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認知症の親を施設に入れる罪悪感 施設選びの前に

こんな時どうする?(症状別)

「もう夜も眠れない。時計は午前3時。また徘徊が始まった……。
でも、施設に入れたら、私は親を見捨てた冷たい子どもになるんじゃないか……」

そんなふうに、画面の前で涙をこらえながら、スマホを握りしめていませんか?

親が認知症になると、昨日までの優しかった親が嘘のように、同じことを100回聞かれたり、突然怒鳴られたりします。仕事をして、家事をして、夜中も起こされて。気づけば、「もう限界かもしれない」と感じる日が増えていく。

そして、そんなふうに『限界』を感じて施設を調べ始めた自分に、ものすごい罪悪感を抱いてしまうんですよね。

まずはっきり言わせてください。

施設を探すのは、親を見捨てることでは絶対にありません。

「共倒れを防ぐための、立派な介護の継続」です。

読者さん
読者さん

正直に言うと……最近、親を憎んでしまいそうな自分がいて。
そんな自分が怖くて、余計に眠れなくて。

こもれび
こもれび

その感覚、おかしくないですよ。
毎日限界を超えて介護していたら、誰だってそうなります。
介護疲れで追い詰められた家族のニュースが、ふと他人事に思えなくなってきた——そういう話を聞くこともあります。そこまで追い詰められているなら、
今すぐ施設を考えていい。むしろ、考えなきゃいけないタイミングです。

こんなサインは、施設を「考え始める」より「動き始める」とき

「もう少し頑張れば」と思いながら、気づいたらずっとそう言い続けてきた。
そういう方は多いです。

でも、以下のどれかひとつでも当てはまるなら、「考え始める」ではなく「動き始める」フェーズだと思ってください。

  • 夜中の徘徊や叫び声で、まともに眠れていない
  • 排泄の失敗が毎日になってきた
  • 暴言・暴力が出るようになった
  • 仕事を休んだり、辞めることを考え始めた
  • 自分の体調が崩れてきた(体重減少・持病の悪化など)

あなたが倒れたら、親の介護は誰がしますか。

施設への移行は、「逃げ」ではなく「あなた自身も生き残るための選択」です。

在宅と施設、費用の違い

「施設はお金がかかる」というイメージ、ありますよね。でも、データを見ると少し印象が変わるかもしれません。

生命保険文化センターの調査によると、1か月の介護費用の平均はこうなっています。

月額平均含まれるもの
在宅介護約5.3万円介護サービス費のみ(食費・光熱費は別)
施設介護約13.8万円家賃・食費・光熱費・介護代すべて込み

数字だけ見ると「2.5倍も違う!」となりますが、ここに落とし穴があります。

在宅の「5.3万円」は、介護サービスにかかる費用だけ。自宅での食費・光熱費・おむつ代などは別にかかっています。それらを合わせると、在宅介護のトータル支出は月10万円前後になっている家庭が多いのが実態です。

こもれび
こもれび

つまり「在宅10万 vs 施設13.8万」で見ると、差は月3〜4万円ほど。施設が絶対に無理、という金額ではないかもしれません。

また、在宅介護は要介護度が上がるほど費用も増えていきます。

  • 要介護1:約3.3万円
  • 要介護3:約6.0万円
  • 要介護5:約7.5万円

一方、施設は種類によって金額が大きく変わります。特養(特別養護老人ホーム)であれば月5〜15万円と、在宅とほぼ変わらない水準になることも。

「費用が心配で踏み出せない」という方は、まずこの数字を頭に入れた上で、予算計算をしてみてください。思っていたより、現実的な選択肢が見えてくるかもしれません。

ステップ1:お金のこと、まずは「親の財布」

「施設ってお金がかかりそう」「私の貯金から出さなきゃいけないの?」と、夜も眠れなくなるほど不安になりますよね。

まず、大切なことをひとつだけ覚えておいてください。

介護費用は、子どもであるあなたの財布から出さないこと。

基本は「親の年金と貯蓄」の範囲内で収まる場所を探すのが原則です。

そのためにまず必要なのが、「親のリアルな経済状況」を把握すること。

親のお金の話は切り出しにくいもの。でも、その”最初の一歩”については別の記事でくわしくまとめています。
👉 認知症の親のお金の管理、どうする?話し合いの始め方から使える制度まで

恐れずに、以下の2つを確認するところから始めましょう。

  • 「年金振込通知書」や「ねんきん定期便」——月にいくら収入があるか
  • 親の預貯金通帳——いざというときに使えるお金がいくらあるか

これらを合わせて、「月々〇万円、初期費用で〇万円までなら出せる」というわが家の予算をおおよそで割り出してみてください。これが施設探しの出発点になります。

読者さん
読者さん

計算してみたら、思ったより少なくて…。やっぱり施設は無理なのかなって。

こもれび
こもれび

諦める前に、国のセーフティネットを確認しましょう。知っているかどうかで、実際の負担額がかなり変わってきます。

「足りないかも…」と思ったら。知っておきたい軽減制度

介護や医療の費用が重くなったとき、国には払い戻し(軽減)の制度がいくつか用意されています。

  • 高額介護サービス費:1か月に支払った介護保険の自己負担額が上限を超えたら、超えた分が戻ってくる制度です。
  • 高額療養費:医療費が高額になったときに負担を抑えてくれる制度です。
  • 高額介護合算療養費:医療費と介護費の両方がかさんだとき、年間の合計額からさらに払い戻される制度です。
  • 医療費控除:確定申告をすることで、税金が安くなってお金が戻ってくることがあります。

※高齢化に伴って自己負担の上限額などが見直されることがあります。最新の金額は、お住まいの自治体や窓口で確認するのが確実です。

数字が見えたら、そのままケアマネジャーに相談を

「うちの親の予算は月〇万円になりそうです。使える補助制度も含めて、この予算内で入れる地域の施設はありますか?」

ここまで割り出せたら、あとはそのまま担当のケアマネジャーさんにこの言葉をぶつけてみてください。予算を伝えるだけで、プロが候補を絞り込んでくれます。

「制度を使っても、どうしても数万円足りない」という場合には、「世帯分離」という選択肢が浮上することもあります。親と子の世帯を住民票上で分けることで、施設の部屋代などの負担が下がるケースがある制度です。ただし、条件やデメリットもあるため、自分だけで判断せず「うちの場合はどうですか?」とケアマネジャーや地域包括支援センター、市町村の福祉課などに相談するのが安心です。

ステップ2:どこから探す?「ケアマネ」と「ネット」の使い分け

お金の目処がついたら、次は場所探しです。でも「ケアマネに相談」「ネットで検索」とだけ書いてある記事を読んでも、実際に動けないですよね。

もう少し具体的に書きます。

① ケアマネジャーへの「刺さる聞き方」

担当ケアマネがいるなら、まずそこから動いてください。ネットには載っていない「あそこは認知症ケアが手厚い」「あそこは今、空きが出そう」という生の情報を持っています。

ただ、漠然と「施設を探したい」と言うだけでは動いてもらいにくいことも。こう切り出してみてください。

「夜間の徘徊が週3回以上になってきて、私が限界です。認知症の症状が出ていても受け入れてくれる施設を、一緒に探してもらえますか」

症状の具体的な頻度と、介護者の限界を同時に伝えると、ケアマネも「これは急ぎだ」と動きやすくなります。

※まだ要介護認定を受けていない場合は、まず地域の「地域包括支援センター」へ。電話一本で動き始められます。

② ケアマネが頼りない、選択肢を広げたい時は「ネット一括検索」

「ケアマネさんが忙しそうで、紹介が進まない」「民間の有料老人ホームも視野に入れたい」という場合は、「みんなの介護」「LIFULL介護」などの大手ポータルサイトが使えます。予算・地域・認知症受け入れ可否で絞り込めます。

ひとつだけコツを伝えます。

「ちょっと予算オーバーかな」「ちょっと遠いかな」と思う施設も含めて、まず3〜5か所に一括で資料請求してみてください。

手元にパンフレットが届いた瞬間、「いざとなったらここがある」という感覚が生まれます。それだけで、今夜から少し眠れるようになることがあります。命綱ができる感覚です。

ステップ3:主な5つの施設の違い

場所探しを始める前に、どんな施設があるかだけ把握しておきましょう。「名前を覚える」必要はありません。「今の親の状態に合っているか」だけ見れば十分です。

施設の種類対象費用目安(月)特徴
グループホーム要支援2〜要介護5(認知症専門)15〜23万円少人数で家庭的。認知症専門ケア
特別養護老人ホーム(特養)要介護3以上8〜15万円費用が安いが入居待ちが長い。補足給付が使いやすい
介護老人保健施設(老健)要介護1以上9〜15万円リハビリ中心。長期入所は難しい
介護付き有料老人ホーム自立〜要介護515〜40万円サービスが手厚いが費用高め
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)自立〜軽介護10〜30万円自由度高い。重度認知症には不向き

認知症の症状が強い場合、まず候補になるのはグループホーム特養のどちらかです。

グループホームは少人数(5〜9人)で家庭的な雰囲気。特養は費用が抑えやすいですが、人気があり待機期間が長いことも。「特養に申し込みつつ、グループホームで待つ」という使い方もあります。

見学で後悔しないために、この3つだけ確認する

施設見学は、きれいな内装やスタッフの笑顔に安心しすぎないこと。感情で決める前に、この3つだけ確認してください。

  • 看取り対応はしてもらえるか:状態が悪化しても最期まで居られるか。退所条件を必ず聞く。
  • 医療連携はどこか:体調が崩れたとき、どの病院と連携しているか。かかりつけ医との連携が可能かも確認。
  • 面会・外出のルール:いつでも会いに行けるか。外泊や一緒に外食は可能か。

見学には、できればケアマネに同行してもらうと安心です。「何を聞けばいいかわからない」という不安が消えますし、プロの視点で気づけることもあります。

施設に入っても、親との関わりは続く

「施設に入れたら、あとは全部お任せできる」と思っていると、少し違います。

着替えが足りなくなった、病院に連れて行ってほしい、あれを持ってきてほしい——施設からの連絡はそれなりにあります。「全部お任せ」ではなく、「プロと一緒に続ける」に近い形です。

ただ、夜中に起こされることはなくなります。身体的に一番きつかった部分を担ってもらえる。それだけで、時間と体力に少し余裕が生まれます。

その余裕の中で、「来週末、また会いに行こう」と思えるようになる。追い詰められていたときとは違う気持ちで、親の顔を見られるようになる——そういう変化を感じる家族もいます。

こもれび
こもれび

施設を選ぶ決断をしたあなたは、親を捨てたんじゃなくて、
親のために本当に難しい選択をしたんです。
それは、ずっと一緒にいることより、ずっと大変なことだと思います。
施設に入ったあとも、
「これでよかったのかな」と揺れる日はあるかもしれません。
でも、それは親を大切に思ってきた証でもあると思うのです。

今夜も眠れない夜を過ごしているあなたに。

一人で抱えなくていいです。
調べ始めるだけでいい。
資料請求するだけでいい。
まず「命綱」を一本作ることから始めましょう🌿

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