🌀【食事の悩み】ばっかり買い・ばっかり食べへの7つの工夫

こんな時どうする?(症状別)

「また買ってる…」
スーパーで卵を何個もカゴに入れる母を見て、
思わずため息。
認知症の方によく見られる“ばっかり買い”や
“ばっかり食べ”は、
本人にとっては無意識でも、
家族にとっては心配の種ですよね。

この記事では、
なぜこのような行動が起こるのか、
その背景と家族としてできる対処法を、
介護の現場経験を交えてお伝えします。

「また買っの?!…」  “ばっかり買い”と   “ばっかり食べ”の   理由と対処法

はじめに:「また卵を買ったの!?」

「また卵を買ったの?昨日も買ったでしょう!オムライス屋でも始めるつもり?!」

思わず口から出たこの一言。
でも、返ってきたのは「そうだったっけ?」と 曖昧な返事…。

買い物に行くと、昨日と同じ物を買ってきたり、出された食事を一気に食べてしまったり。
“ばっかり買い”“ばっかり食べ”と呼ばれる行動に、驚きや戸惑いを感じたことはありませんか?

「ばっかり買い・ばっかり食べ」ってどんな状態?

  • 毎回同じものを買ってくる
    (卵、牛乳、お菓子など)
  • 目の前の食事を一気に平らげてしまう
  • おかずにバランスよく手が伸びない
  • ずっと同じものばかり食べ続ける

こうした行動が繰り返されると、
「ちゃんと食事できているの?」
「お金の管理は大丈夫?」と
心配になりますよね。

なぜそうなるの?【理由と背景】

このような行動は、認知症の症状のひとつ
「常同行動」として知られています。

常同行動って?

「常同行動」とは、同じ行動を繰り返してしまう認知症の症状のひとつ。
たとえば、同じ食べ物ばかり買ってしまう、
同じことを何度も言ってしまう、
などがこれにあたります。

特に、前頭側頭型認知症で
目立つ傾向がありますが、
アルツハイマー型など他のタイプでも
見られることがあります。

主な背景には以下のような要因があります。

  • 記憶障害:
    何を買ったか・食べたかを覚えていられない
    目に見えないものを頭の中で想像できなくなる
  • 判断力の低下:
    量の調整やバランスの感覚が失われる
  • 「慣れ」や「安心」「苦労」への執着:
    知っているものを繰り返し求める
    なくなって困った記憶が思い起こされる
  • 嗜好の変化:
    甘いものや濃い味を好むようになる

つまり、本人にとっては
「不自然なことをしている」という
自覚はないのです。

介護現場で実際に効果があった「7つの対策」

これらの行動は、無理に止めようとすると逆効果になってしまうことも。
怒ったり混乱したりしてしまうこともあるため、以下のような工夫で“環境”や“対応の仕方”を変えてみましょう。

1. 食べ物を目につかない場所に置く

衝動的に食べてしまうことがあるので、
見えないように工夫を。
冷蔵庫や棚にしまい、包装も目立たないものに。
逆に見える化(扉をとってしまう)で買いすぎを防ぐ、物の有りかがわかるようになることも。

2. 買い物は一緒に行く or 通販に切り替える

一人で買い物を任せるより、
家族が付き添うことで買い過ぎを防げます。
ネットスーパーや定期便も上手に活用しましょう。

3. 否定しすぎず、やさしく気をそらす声かけを

  • ✘「ダメでしょ!」
  • ⭕「卵がほしかったんだね」「ゆっくり噛んで食べようね」

「止める」より、「気をそらす」声かけの方がスムーズに切り替えられることが多いです。

4. 支払いのトラブルなど困りごとが増えたら専門機関へ相談

買い物で支払いを忘れたり、
トラブルが起こるようになったら、
地域包括支援センター認知症専門外来への相談も検討しましょう。

5. 選択肢を与える

  • 「ないものリスト」など買い物メモを作って買い物に行く
  • 「卵もいいけど、こういうのもあるよ」と
    代替案を提示する

6. 食事の量と出し方を工夫する

  • 一度にすべて出さず、小分けに
  • 熱々ではなく冷まして出すことで
    ゆっくり食べる習慣に
  • 嚥下力が低下してきたら小さく切る、
    柔らかくするなど安全面にも配慮

7. 環境を整える

  • テーブルにお盆やランチョンマットを
    敷いて“自分の範囲”を明確に
  • 周囲と少し距離をとる、
    ワンプレートに盛るなどで混乱を防ぐ

私の体験から伝えたいこと

私の母も、買い物に行くと毎回のように卵を手に取りました。
「昨日も買ったよ!」とイラッとしたこともありますが、同時に「あぁ、もう覚えていられないんだな」と、胸がぎゅっと締めつけられるような気持ちになりました。

甘いお菓子を袋ごと一気に食べてしまったこともありました。
「少しずつ食べる」という判断もできなくなっていたのだと思い、
それ以降は目に入らないように工夫するようにしました。

おわりに:本人の安心感と介護者の心の余裕を大切に

“ばっかり買い”“ばっかり食べ”の背景には、
本人の不安や混乱が隠れていることもあります。
それを「ダメ!」と否定されると、
かえって症状が強まってしまうことも。

完璧にコントロールしようとしなくて大丈夫。
小さな工夫でも十分に意味があります。

できなくなっていくことに目が向きがちですが、
「まだできること」に目を向けて、
本人も介護者も笑顔で過ごせる時間が増えるといいですね。

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